かすがい/佐野権太
 

(いいよ、わかってる

つい、このあいだまで
水色のサンダルを
ぷぅぷぅ鳴らしていたのにな
いっぱい考えさせちゃったな
こんな小さい頭で

耐えかねて
(髪、長くなったな
なんて出鱈目を繰り出せば
きみは黄熱球の瞳で
(うん、パパ、ながいほうがすきでしょ?
なんて柔らかい風を紡ぎだす

その愛しさに
そっと手のひらをのせ
僅かな意思を伝えると
何もかも分かっているかのように
きみは瞳をとじ
吸い込まれるように
胸のなかへ

そのあまりの軽さに
僕は、僕は

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