ヒロシと寿司と母ちゃんと(吉沢やすみ『ど根性ガエル』)/角田寿星
とうてい上客になんかなりそうもない貧乏少年ヒロシに、寿司をバクバク食わせる…そんなことは、どう考えても有り得ないんです。
原作者の吉沢やすみは昭和25年生れ。母子家庭だったと推定して書きますが、少年時代は貧乏で、クソみたいな虫ケラみたいなガキで、きっと寿司の存在なんか知らなかったでしょう。多分、遊ぶヒマなんかほとんどなく、小銭を稼いで家計を助けていた。
それでも好きだったマンガをやらせてもらえて、師匠のマンガ家に寿司を食わしてもらって、その旨さにカンゲキして、それでも吉沢やすみ少年は、稼いだアシスタント料で自分で寿司を食わずに、買った寿司を、苦労をかけた母ちゃんに持ってって行ったんじゃない
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