冬の物語(パール・ピンク)/千月 話子
体温の高い人がいて
側面から じいわりと火を点ける
秋の人より 春の人を選んでいる
無意識の 呼応
夜には 雲ひとつ無く
濃紺の冷えた空から
ツツツ と星達も呼び合うのだ
それがただの石の欠片だとしても
人は 温かい夢を見る生き物
雄星よ 雌星よ と
見上げた世界を美しく物語る
おやすみ 春の人よ
2人して手をつなぎ
清流をゆうくりと流れて行こう
時々 ときときと水中花が
背中を押し上げるので
「くすぐったい。」と君が笑った
眠れないのではなく
敏感を捨てられないだけ でした。
夏の入り口まで
クスクスと戯れる
冬と冬の間の春の陽のように
2人して
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