Eclipse/Ree.
 
影の伸びる音がして私は 目を閉じた
びくりともしない
有り余る音と 何処にも無い音を探して

もう一度。そして何度も。

散り行く音 
蔦の這う音
するすると知らぬ間に伸びて侵食される影
光は 少しずつ見えなくなる
眩しさに目を細めるとそれを避けるように覆い被さる影
未だ暑くて 茹だるように暑くて


風が吹き抜ける 静けさだけが残る
見えるのは その声だけ
聞こえるのは その目だけ
有り余る色と 何処にも無い声を探して

もう一度。そして何度も。

どこか懐かしいナツメヤシの森 唄が聞こえる
思い出す 色彩 匂い 此処は何時だろう
際限なく降りしきる
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