冬の円盤/岡部淳太郎
円盤が
おまえの頭上高くを浮遊する
未確認の淋しさを乗せて
円盤は 氷点下の空を浮遊する
おまえの淋しさを憐れんで
おまえの淋しさに同調して
(いずれも認められていない淋しさ)
空の白さと その奥の宇宙の暗さを表すように
葉を失った枝に風の音を吹きつける
風は おまえの淋しさを吹き過ぎる
風は おまえの淋しさを吹き荒れる
円盤はきっと
宇宙のどこかで誰かに投げられてやってきた
投げられたことの遠い淋しさ
それならばおまえは
取り残されたことの淡い淋しさ
(いずれも認められていない淋しさ)
宇宙はこんなにも素早く回っているのに
円盤もおまえも
こんなにも緩慢な速
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