Snow storm/
落合朱美
の雪が
フロントガラスめがけて押し寄せる
車のスピードが増すほどに
それは大群の虫のようで
思わず身をすくめる
私たちはこれから
何を築き上げていけるというのだろう
胸もとから込み上げる渇いた塊
噛み潰したら苦くて
もう笑うしかない
男はアクセルを踏みつづける
雪は止まない
過ぎてきた時も向かいゆく時も
容赦なく埋めつくす
私はひとり
カラカラと笑いつづける
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