雪明り/
砂木
暗いはずでした
起き上がっても
見えるわけがないと
思い込んでいました
ふすまを開けて
階段を 見下ろすと
一段 一段
角も はっきり
見えるのでした
外に 降り積もった雪が
闇に 白く 息づいて
灯のいらない 夜なのです
光の責めない 夜なのです
見えるわけがないと
思い込んでいました
闇に 息づいて 凍えながらこう
やさしく しろい よるなのです
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