酔い醒めのバラッド/狸亭
 
すじの糸の一本がきれた
さてもう一本がいつまでもつのかわれながら

とんとあやしいのだが面影も日々にとおくなる
どうもあるきつづける日常はもたもたよたよた
酔生無死の余命を他人事のように訝しがる
『シャッター以前』の写真家が逝って十年がすぎた
わかい詩人の出版記念会やら老師を偲ぶ会もあった
カプセルホテルから這いだしたあさっぱら
「二十一世紀まであと二〇九五日」の表示をみた
ねむくなるような空にうかんだ仏頂面      

ゆうべの酒が胃にのこる花ぐもりの空のした
十年かよった聖マリアンナ医科大学病院から
地元医療にきりかえて天本病院へ行った
血圧心電図正常体重要注意、肩に花びら。

 (押韻定型詩の試み 42)

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