釣る/
奥津 強
静かな 音色が 私の
腕を 釣る
首まで もっていかれ
死は 釣られ
音色は 小川を 走る
十字星 にも 似ている
まだ
まだ 終ってはいない
私の 足が 主のいない
夜道を 歩いている
後ろには 狐がいる
念仏鈴を 叩くので
耳が 釣られる
突如 感謝状を
受け取り 問えば
道は 遮断され
私は 一人 残り
狐の 群は
花火 と 共に
消えていった
朝日が 昇る
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