罪のない子供たちの歌/岡部淳太郎
いよ って 言ったじゃないか
どうして空はこんなに大きいの?
どうして夜はこんなに寒いの?
君の無邪気な疑問も質問もみんなまとめて
君といっしょに消えてしまった
もう君の問いに答えてあげることもできない
――どうせ大人たちにとっても
はじめからわからない問題だったのだけれど
とん とん と
地面を蹴って
君は飛び上がってしまったね
空のほうに
あの薄くたなびく赤い夕焼けのほうに
何故 君はいってしまうのか
大人たちよりも ずっと ずっと先に
ほんとうの 先のほうへと
きっと夕焼けの向こうでは大勢の子供たちが
君と同じように早くいってしまった子供
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