浮気のバラッド/狸亭
黄金の寺院などをみて
ぬける青空のもとスコータイ遺跡に感銘
酔っていなければ生きてはいられないし
天才詩人ではないからからだで詩を書いて
わかい女とつづるはてしないエロス哀史
金銭と愛憎ののたうちまわりこそすべて
女のやわらかさだけがたしかなものだと錯覚して
ふるびたホテルの寝台のきしみ柳暗花明
ゆらぐ時間の中に酔いはますますふかまって
雑踏のたかまる音にめざめるとはや薄明
あけて一九九五年のさむい朝屠蘇をすすって
ひさしぶり家族の笑顔にかこまれてにぎやかに酩酊
はつゆめはみたのかみなかったのか視界ぼやけて
あいまいな日本の中のあいまいなわが不貞。
(押韻定型詩の試み 40)
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