小説/加藤泰清
 
た。目を剥き、舌を目一杯突き出し、脂汗が滲み出ていて、青くなりながらも最期までもがいていた様な姿勢でぶら下がっている。
 オレは生まれて初めて実の父親を憐れみの目で見つめた。こんな気持ちさえも生まれて初めてだった。心臓の鼓動が後ろのほうからどんどん近づいてくる気配を感じている。オレは落ち着いて心臓を静めながら、マイナス九十度ずれた親父の髪を整えてやった。


                〜「同調の在る風景」一ページ目途中〜
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