いつも手を握り締めて歩くことにしている/初代ドリンク嬢
えないものもあった
見えないので
産み落とした感触はあるものの
一体自分が何を生んだのか
しばらく分からなかった
それは
あたりの空気を変えた
あちらこちらで
クラクションの音が鳴り出した
よく観察して
私は高慢を産み落としたのだ
後悔した
ベールを産み落としたこともあった
すべての人にベールがかかり
真実は
隠されてしまった
多くの人が
偽善を信じてしまった
赤い風船を産んだ日のことは良く覚えている
あの日は雨が降っていた
私は緑の傘をさして
買い物に出かけた
圧迫されるような気がして
手のひらをみると
赤い風船が生まれ
高
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