たけのことり/砂木
 
目印になる場所まで引き返そう
そういって 舅は背中を向け 急ぐ
たけのこを ぐちゃぐちゃ 踏み潰していく

私達は 夜明けと共に 山に入れるように
早く起きて
家族で食べるくらいの たけのこをとりに
舅の いきつけのような場所に 分け入った

道路からは あまり離れない約束で
天気も良く 山は すがすがしい
ちゅんちゅん 鳴いてる鳥
細くても小さくても とりあえずとった

竹藪の中は 絡み合っていて
何かと闘っているような体勢にもなるが
女としての自覚が足りないのか
持ち合わせの袋が満たされる方に夢中だった

ある程度 とり終えた舅と 声をかけあい
帰ろうと
[次のページ]
戻る   Point(7)