鼓動/砂木
 

ところどころ 破けている
近くの林檎をもいだら その反動で
しなった枝に はらい落とされる

もう どこへもいけない とんぼ
雨の中 悲鳴もあげない
けど 死ぬ気もない

その羽には さわれない
落ちるなよと 気をつけながら 後にする
秋の生き物達の 終わり
何度も 見送った 

冷たい空気が 無意味な生などないと
泥水 かぶったって また 流されて

赤い長靴 道連れに
手の届かない 枝に

水になっても
登っていく


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