丸い、サイコロ/プテラノドン
 
いが。
そこから開放されるには時間がかかる。
十年か二十年か、あるいはもっと。
刑期がいつ終わるか知らされる事はない。
そもそも僕等は罪など犯したのだろうか?
それというのも、あらゆるルールを破る奴等のせい。
だからといって立場が窮屈なわけではない。
模範囚が増えることの方が息苦しくもある。
僕等が顔を輝かせるとことといったら
ルールからはみ出す時(それもまたルールの範疇なのだが)
たとえば、一度じゃ消せなかった誰かの誕生日ケーキの
ロウソクの炎を、横からふっと吹き消すような。
 一方で、転がりっぱなしで進みっぱなしの
丸いサイコロは、枠からはみ出しっぱなしだったが
その向こうにも、また枠があるといった具合で
(およそ地面に空白なんてないみたい)
そのせいか、誰かが越えようとしたゴールを
先に越えてしまうこともある。そしてそこが
スタートじゃないかといわんばかりに
また転がり始める丸いサイコロは
僕の魂のよう。

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