フラグメンツ #51〜60/大覚アキラ
 

 やわらかな器の底のほうに
 ほんの少しだけ残った
 とうめいな水を
 すっかり枯れてしまった
 ベランダの秋桜の根元に
 ぎこちなく注ぐ
 秋桜よ
 水はつめたいか
 それとも
 あたたかいか



#60

 あたまがわすれてしまっても
 からだはおぼえている

 あたまがりかいできないことも
 からだはわかっている

 あたまがこばんでいても
 からだはもとめている

 あたまがたちどまっても
 からだははしりつづけている

 あたまがうそをついても
 からだはほんとうのことしかいわない
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