亜熱帯チャイナタウンにて/MOJO
「頼みます。こういう金はぱっと散財しないと」
私もうっかり私の帰属する民族の慣用句で応えてしまった。
「陳さん、おかげで今回のお客は今のところ上機嫌さ」
「それは良かったです。茂如さん、次も私を使ってくれるよね」
「ああ、おれたちは名コンビと言っていいかもしれないね」
私は泥のような苦いコーヒーを啜りながら、決められた行程の合間を縫って、彼等をいかにバックマージンの高いみやげ物やに連れて行くかを思案していた。
チャーターバスがホテルに横付けされるまでにはまだいくらか間がある。私は土産もの業者の名刺をトランプをくるように弄んでいた。
<了>
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