亜熱帯チャイナタウンにて/MOJO
 
が合った。地方都市で中小の建設業を営む血色の良いこの男は、このツアーの団長格で、シャツもズボンもゴルフ場にでも行くようだ。
「添乗員さん、あのこたちが一緒にバスに乗りたいって言うんだけど、いいかな?」
「ええ構いませんよ、男ばかりじゃ無粋ですものね」
「昼飯は四人分追加しておいてくれな」
「了解しました」
 ダイニングの端のテーブルで中華粥に棒状の揚げパンを浸して食っていると、陳さんが目玉焼きとソーセージを盛った皿をテーブルに置き、私の前に座った。小太りで度の強い眼鏡をかけ、白いワイシャツに紺のよれた綿パンを穿いている。きょうも昔の教員のような風体だ。
「茂如さん、それ何だか判って食べ
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