幻子核の街/
相馬四弦
陽気の過ぎる歩行者天国を
とぼとぼと歩いていて
すきまがない 幸せに苦しむ人々の声は
着ぐるみのセイウチが差し出した風船に
引き伸ばされた十年後を見る
ガードレールに腰をおろして
無尽蔵に膨張してゆく今を眺めるとき
確かに僕が 僕こそが
この世界の中心だった
迷子になって泣きじゃくる
あの小さな子供と目が合うまでは
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