無意なる旋回/「ま」の字
 
衛星(つき)でもない 
まして
同郷のおんなどもを飾りなした
半身に空あおぐ腕環でもなく
はいいろの樹の下に座す古老
また集落の辻に
はるか上古の叛乱に敗れた者たちの最期をつたえある
祭祀でもなかった

かぜふけよ

とりたちは旋回し
空に
巨大なる尖底の土器のごとし
飛行してこそ表象される
かつて炎であったものらのかたなみ
さむざむとした褐色の海にむかってひらたべた 泥土のうわそらを
鳥たちは
おびただしく 
在り 裂き 旋回し
鋼の描線
か 
飢えテ ひラびた
真理 カ

 アアル、 アあル、 Ahr、 あアル、

汝(わい)ら
海を失って空を飛ぶ
なぜにいまさら
そらに
土器なるなり

辺境のそらに
魚に非ざるものら 飛び交い

不思議にけぶり
遷りゆく



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