太一の成人式/MOJO
レに行くふうを装い、そのまま会場の外に出た。会場と正門を結ぶ通路に沿って植えられた銀杏並木はすっかり冬枯れし、枝に停まった鴉が時おり鳴いている。その通路の正門寄りの処に仮設のテントが設置されている。ねずみ色のテントの下に長机が寄せられ、その上に細かい花模様の包装紙で包まれた四角いものが山積みにされている。そこには既に人の列が出来ていた。付近には太一の知った顔もちらほら見える。中学のときの同級だった者、同じ高校へ進学した者。そのうちの何人が太一に気がついたのかは不明だが、太一に話しかけてきたのはしげるだけだった。
「よう太一、久しぶりだな。元気にしてるのか?」
「ああ、それなりにね」
そう応
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