坂道と手/うめバア
 
長い長い坂道を
あなたと手をつないで歩く

冬が終わりかけて
ぼんやりとした太陽が
あたしたちの後ろをついて来る

あたしはもう、終わりだと思ったし
あなたはまだ、何も始まってないと言ったし

あなたがあなたかどうか
もう、うすぼんやりとしかわからなくなって

あたしがあたしだったのかどうかも
うろおぼえにしかわからなくなって

あたしは途方に暮れて
どっかに帰りたくなったけど
帰り道なんかとっくに忘れていた

だって、だんだんともう
何もかもがどうでもよくなるってもんよ

家? なにソレ、みたいなね

だからそれはもう、以前にもましてよっぽど
かけがえがないものになってしまいました

ただそれだけの
つないでる手の温度

まだしも生かされているかんじ
あなたがいなきゃ
とっくの昔に
陽炎か何かになっていた



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