斜影/
相馬四弦
放課後の廊下を歩いていた
右手には教室が並んでいて
どこまでも続いて終らない
左手には中庭の木立が並んでいて
無数のヒグラシの鳴き声が
窓ガラス越しにじっとりと暑く
立ち止まって制服の肩口で汗を拭えば
はるか上の階から
吹奏楽部のロングトーンが聞こえる
やがて斜めに伸びていった影に
鞄を忘れた学生を見た
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