西域に消える/MOJO
 
 その一行が消息を絶って、もう十年が経とうとしている。
 彼らはシルクロードのオアシスの街で忽然とその姿を消した。一行を率いていたのは、私のかつての仕事仲間で、彼は日頃からいつ消えてもおかしくない雰囲気を漂わせていた。だから、私は彼が消えたと聞いても奇異な感じがしなかったし、むしろやはり消えたか、という思いの方が強かった。これから語るのは彼等が消えていった状況の、星の数ほどある仮説の一つであるが、私が最も支持するものである。

 以下は彼の一人称で。 

「あれが火焔山です」
 ガイドの陳さんが前方を指差して言う。我々一行の周囲には、昔の京王線のようなくすんだ緑色のマイクロバスがあるだ
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