メトロ/相馬四弦
 
浮浪者がひとり

ホームの支柱に寄り添いながら泣いていた

灯りを落とした回送列車が

静かに通り過ぎていった

駅員がひとり

チリトリを持ったまま

トンネルの奥底を見つめていた

生ぬるい風に乗って

レールの擦れる音がちいさく聞こえた

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