色相環/
相馬四弦
公園の中で季節を売る老人が
樫の木のベンチにぽつんと座って
売れ残った夏を鳩に投げつけていた
ぼくは池を一周 口笛吹きながら
薄く晴れた十月のパノラマに
若く散った楓を敷きつめる
走り抜けていった自転車と少年の轍
いま遠ざかる道草の香りが消えぬ間に
二十四の残像をパレットに乗せて
老人の絵を描いた
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