ファウスト(序〜誘惑)/ポロリ
 
る涙は
誰に見咎められることもなく
ただ、深い皺の間をゆっくりと流れる
その年すらも洗うかのように


    1-登場

偉大な世界の祭壇階は
闇を抜けて神へと登る
闇を抜けねば登れない
神もなかなかおつなもの

「登るも降るもどちらも同じ
 終わってみたら
 一緒にゴール」

陳腐・退屈・平板・無益――
世の営みはそう見える

「チーズのように溶かすのさ
 頭をケツに突っ込んで
 性器と目玉をとっかえる」

平和には勝利はない
戦いの勝利に勝るものなし

「さあ、俺に喜びを与える者は誰だ
 才気と狂気は縁続き
 薄い仕切りが二つを分かつ
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