小詩集「書置き」(五十一〜六十)/
たもつ
の音がする
私の生きている、は
不確かな幻かもしれないけれど
幻だった例もないのだ
+
手足が絡み合って
体操をなくした
途中、味のしない地下鉄に
追いかけられた
この海は
意味のない繰り返しだね
結論はきみに出して欲しい
と言ったら
+
他所様の庭で
席替えは続けられて
友だちはまた沖へと
流されていく
奥さんと娘さんは
まだ栗の皮を剥いていますか
黒板けしをきれいに叩くと
新しい学期は
もう始まっている
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