*よるは*/かおる
 


つるべ落としの夕暮れが
立ち尽くす人の上を
群青に染め上げていく

笑ったような月が
ヴィーナスを従えて
ゆっくりと
空にかかる

そして

青白い光が
窓辺で
謳っている

夜が溶け出すと
無限が
大きな口を
開けていた

ほんの少し羽を伸ばした
世界は
昼よりも大きい

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