生前と死後のあいだで/小林レント讃3/渡邉建志
 
な嫌な表現だが、ここにおいては、それが普通ではなくて彼一流のおさな/かっこよさ的な何かになっている。つまり、下手をすると稚拙に思えるような方法が、彼の手にかかると稚拙が逆に回ってシンプルにかっこよくなってしまう。これは、つまりその表現が小手先でひねられたものではなく、本能的に、才能から、天才から出てきているからで、僕のような凡才がまねしたって稚拙になるばかりである。これはおもねりでもひがみでもない。
{引用=
その後で
僕は一匙すくったコーヒーを
眼に 入れた
瞼と眼球のはざまで
コーヒーは揺れた
その不明瞭な深み。に
足をとられて

僕は一匙のコーヒーを助けようと
して

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