東南の精霊/鏡文字
不平たらたら 文句ぶつぶつ
片腕を上げるのも億劫なのに
あの悪魔憑きの兎を守れとは!
女主人は気が利くが
あの兎は乱暴だ
手のつけられない怒りん坊
竜神ででもあるかの様さ
お遊びに夢中になっては
私達を手ひどく傷つけ
知らんぷり
いやあれは盲なのだ
本当に気付いちゃいないんだ
でなけりゃああの不正確な無鉄砲さは
説明がつかぬ
何より魔女等の合言葉は
「ありがとうの一言もなしさ!」
でも実のところ
兎はもちろん盲なんかじゃない
魔女達の仕事や不平など
すっかり承知の上で
王女のように
無垢に 鷹揚に
時折は謁見してやったりもする
笑ってやろうじゃないか
女主人を!
彼女には
あのしょぼくれた怠け者の婆さん連中が
美しい姿の守り神に
見えるそうだよ!
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