詩のおっさんのこと/Monk
ンを片手に現れ「おおよ
そ世の中はバームクーヘンみたいなもんやな」とつぶやきながらそ
の真ん中の穴から瞳をのぞかせる。けっこうつぶらな瞳をしている。
詩のおっさんは電車に乗るとつり革をギュッと握ったり下にグィと
ひっぱったり隣り合ったつり革のわっかの部分をカツンカツンとぶ
つけている。そして黙々と胸ポケットから取り出した手帳に何かを
書いている。たまに中吊り広告の端っこをひっぱることもあるがそ
れについては特に手帳には書かない。
詩のおっさんは地下鉄大江戸線でよく見かける。地下鉄大江戸線森
下駅の下りエスカレーターでよく見かける。その長いエスカレー
ターでおっさ
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