朝食と指輪/はな
そっとかわいてゆくならば
あと すこしだけ
(でんわのおとで目をさまして)
(それからゆっくりと足の裏をつめたい床へ)
(ひた ひたと)
おきてがみの温度は なまぬるく
いちにち、ははんぶんに
まちがっていた
あいさつしてはすれちがってゆく季節の
すきまにむかって
手を
しずかにさしこむ
ゆがめられて
わずかにつもってゆく日差しの高さを
てのひらで はかる
あやまるようなわらいかたを
わすれてほしかった、中秋の日
制服のすそからはみだしていた
しろい猫をおぼえている
きのうは
月が
ほどうきょうにひっかかってしまって
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