胃袋の秋/
tonpekep
炊飯する
ごはんはきっと海苔で巻かれたい
秋刀魚焼いてみる
秋はその辺りでちりじり色つきはじめる
お米は海を知らない
秋刀魚は畝を知らない
けれどもぼくは知っている
そこでぼくは海について畝について
お米と秋刀魚にそれぞれ話しかけたんだ
ただ
季節の重なり続けたかれらの身の
美味しいことは話さなかった
やがて静かに
それぞれの
身に醤油をたらす
胃袋は切なく啼いたかと思うと
秋の訪れをまちかねていた
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