指が落ちるように/千月 話子
 
柔らかそうな白黒の小さな毛玉が 転がって走って 転がって走って
それは、シーズーの子犬 絡むふさふさの
少女は弟のサッカーボール 転がして蹴って 転がして蹴って
コロコロとボールが2つ 戯れて可愛くて 笑って 笑って
涙と鼻水すすり 爽やかに水浸している
それは、桜降る 満開の空の下で・・・


テトラポットに乗って魚を釣ろう

早足のフナ虫が、時々海の匂いを連れて来るけれど
まだここは 川という名で呼ばれているので。
持ち帰った魚を水槽に入れて見る夢は 
 〜月に跳ね上がるナイフの魚〜
朝ベランダで干乾びかけた体 バケツに移して川に戻した
 〜空に跳ね上がるナイフの
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