侵食するオノマトペ(カイワレ追分編)/人間
「電車だ」
「あれ人を見殺す瑠璃の義眼」
「時計だ」
(詩情は童貞と夢現は処女と一緒に棄てておくべきだったんだ実は)
飛び上がる顔の無い子供!
(過ちは悔やむ数分前から始まっているというのに)
:男は棒立ち
:女に位置は無い
盲目の郵便配達員がバイクを器用に乗り回しながら囁いていった
『ダカオにカトマンズにシベリアにアウシュヴィッツに
埋めてきましたクルミ割り人形の身体は』
「じゃあ誰クルミ割るのさ?」
「表現に切り取られた指だ」
「そんなの嘘」
嘘
嘘は滞留して空間の瘤になる
それに躓くのは箱入
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