エロとロマンと、いつかワルツを/千月 話子
さぬように
そっと 滑らかに挿し入れる
「これが、アナタの愛ですか?」と女のような高い声で問う エリカ
「これがワタシの愛だよ。」と耳元で低く答える 男
いつか その体総てに真紅の薔薇を挿し終えた時
二人でタンゴを踊ろう 抱き締めた血まみれのタンゴを・・・
窓枠に止まる白い蛾が こちらを見ていた
まるで 美しいゴシック・ロリータのドレスを纏って
生まれ変わったのか 愛しいマリアよ。
白薔薇は もうこの腕の中には無いと言うのに
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女は香り立つカフェのショーケースに美しく盛られた
色とりどりの西洋菓子を見ていた
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