秋の風/天使
 
ふたを開けてみれば

やっぱり、枯葉の臭い

心の痛みを、ぐっと我慢して

涙が出ても じっと見つめた

君がいたすべての思い出

やっと今、受け入れられた・・・

秋の枯葉の臭いが

僕を包みこむ

頭の上に落ちてきたもみじ

それが、ふっと君の手の感触のように思えた

「あぁ。僕も頑張ったよ。君も頑張ったね・・・。」

いないはずの君に話し掛ける

秋の空は、真っ赤に燃えていく

君の横顔が僕の隣りにいた

「会いにきたのか?」

なんかいっても、何の返事もこない

ただ、じっと空を見つめる君

僕も同じ空を見た

「きれいだな・・」

と、振り向いたときには

もういなかった。

「きてくれてありがとう。」

僕はそう言い、また歩き出した。


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