早春歌/芳賀梨花子
ってよぅって甘えた声を出して、たまに待っていてくれたり、たまに豆粒みたいになっていく二人の後姿に泣きべそかいたりしながら、私はいつも追っかけていた。
だから、今日も追っかけるよ。
二人の背中を追っかける。
待って、待って、私も今行くから。
ねぇ、龍ちゃん、眠らないで、眠らないでよ。
帰りの電車賃で真っ赤な包みのチョコレートを駅の売店でいっぱい買った。
中学二年生のときに、はじめて龍ちゃんにチョコレートをあげなかった。一人だけにあげた、たった一人だけにあげたんだ。三人は二人になってしまうことが多くなって、でも、龍ちゃんと彼は相変わらず仲良しだった。
指切りしたのにね
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