夕方/石川和広
曇って
見えない夕陽を
さがしていると
さびしかった時間が
今と重なる
ひんやりとした母の顔
ギザギザにみえて
夕陽道を歩いている
学校の校庭は
黄色い砂漠
ひとり歩く
重い
思い
ランドセルをしょって
走らない
トイレに行きたいのだけど
逃げ道は四角い箱
の形をしていて
夕日が世界を
焼き尽す
友達は夢の中
誘ってくる子は
いたけれど
ひとりじりじりと
歩いている
昨日何食べたっけ
時々ふりかえる
昨日は
粘膜で包まれて
いつまでも
帰れない
あるはずの
ひんやりした玄関は
訪れなくて
拒んで
泣くことも選
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)