ラピスラズリ/はな 
 

僕はだまって すきまにうまれた心臓をさがした
ゆびが少しだけ震える
いつからか僕たちは
ずっとおなじ電車に乗っているね
揺れのなかでくずれてゆく 、
あなたを抱きしめるのがほんとうは怖かった 群青

だれもいないまちのすみの
あおく
しずむ交差点で
ふたりのかげはぬりつぶされていった 
あおく





*




澄んだみずうみの水面に
はくちょうのかたちのひとがおよいでいた
よく化けたね と
僕はわらった
そのひとも わらった

目を眩ませたそのひとは ぶかっこうに両手をひろげ
ひどく小さい
なつかしいなまえの
僕を呼んだ





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