ラピスラズリ/はな
彼女は
朝の遠いこのまちの
ちいさな刷毛で色をさしてゆく、群青
そらをぬりこくって笑う
その背中に
にじんでゆく夕焼け空を想起しました
けれどもうぜんぶ しずんでしまったから
よるのあけてゆくおとは
さかみちを果実のころがりおちるのににていて
とりかえしはつかない、と
はのうらにそっとかたつむりをかくしたよるを
てのひらでくりかえします
ぐんじょう、
あなたはだれなのですか
たんじゅんな日々のきょくせんを
いくどもなぞるゆびが焼ける
あなたがかえってこないまま
くりかえされてゆくゆうやけ
あなたがそっとよりかかって来て
僕
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