ラピスラズリ/はな 
 


彼女は
朝の遠いこのまちの 
ちいさな刷毛で色をさしてゆく、群青
そらをぬりこくって笑う
その背中に 
にじんでゆく夕焼け空を想起しました
けれどもうぜんぶ しずんでしまったから



よるのあけてゆくおとは
さかみちを果実のころがりおちるのににていて
とりかえしはつかない、と
はのうらにそっとかたつむりをかくしたよるを
てのひらでくりかえします
ぐんじょう、
あなたはだれなのですか
たんじゅんな日々のきょくせんを
いくどもなぞるゆびが焼ける
あなたがかえってこないまま 
くりかえされてゆくゆうやけ



あなたがそっとよりかかって来て

[次のページ]
戻る   Point(16)