小詩篇 「砂浜」/芳賀梨花子
 
今でも
わたしは、わたしたちは
まいにち、まいにち
砂浜に下りて
その瞬間を待っている
どうせ死ぬなら
生まれたところで
娘でもない
でも欲することをやめない女は
母の元で死ぬことなど許されない


「そして、やってくるはずがなかった8月」


真夏の薄氷を踏みしめる
それはそれがなんであろうが
決して情熱という言葉は使わない
もしかしたら
知りえなかったものを
あたえられ
知りえなかったものを
失う


「おしまいは常に9月」


だけど輪廻する
Deja`vu
終わらないものを
追い
南へ
南へと回帰する

わたしという女



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