家族/捨て彦
らの
晩酌がうまい夏が
一番好きなんだ。
お母さん。
和人。
私はまだ
よそのお宅よりは
家庭を顧みているほうだと
思っていた。
でもそうでもなかったんだな。
今わかった。
そして
こんな状況なのに
リビングの
戸の隙間から
お前たちの姿をそっと
見守ることしかできない
自分の情けなさも
今知った。
私は今まで何も知らなかったんだな。
お母さん。
とても
構えが様になっているよ。
格好良い。
また惚れ直してしまいそうだ。
見てみろ和人を。
君のあまりの美しさに
言葉も出ないようではないか。
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