春よ/m.qyi
 
っくり回っていた。入り口で切符を切る薄水色の制服の服務員の女性はAホ
  ールまで来て三匹を目配せでトイレへ誘ってみたが吊るされた彼らにはどうにもな
  らず目をなにやらぎょろりと動かすばかり。女性は溜息をついてセメダインの目薬
  をさすばかりで目も眩む足取りで男性トイレに入ってコーラを飲干してから黒いド
  レスに着替えるらしい。僕はその時にはもう美術館を出ようとしていたが箒に跨り
  突風吹いて後ろから、北京は春よ、と言った黒いドレスの胸は春一番の青い埃の中
  へ、赤いチェリハートを空へ捨てた日、



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