少年/チQ
 
弁当は友人の家で虚しく食道へ


炎の紋章 友人は隣の部屋
炎の遊戯 友人の隣の妹の部屋


気が付けば女の子に見向きもされない日々だ
それは火で炙ったチキンの顔面に亀甲が現れて夜露で枕が茶色になった
或る十七歳の自室に閉じこめた初夏から始まって
友達だった太陽との決別は余りに呆気なくタオルケットの渦は粉々に吹き
白い粉が空気吸って億単位のダニが浸食するや否や狂行
遁走したいなと願う 微小たる願い太宰の本に堕落するならすればいい
走行距離数百キロメートル六時間の夜を跨いだ親子三人の旅は
道東の茜輝かしき海の向こうが見える岬も湿原も駆け抜けたまま

[次のページ]
戻る   Point(1)