こわくない/石川和広
てさえいる
手が手でなくなる
動いている
犬の上を
不思議だ
鈍感になったのかな
僕は
クルクル回る犬だ
犬は暑いので
水を飲みに行く
また撫でる
毛波に
怖さが
滑り落ちていく
迎えられている
犬に
もう僕は
なすがままに
されている
両方とも
精一杯生きている
対等だ
犬の命は短い
こわさが
なくなったのでは
なく
小さい頃の
来るこわさが
ひょんと
この犬カワイイ
に飛んで行く
小さい頃の
怖さを知っていた
僕が
知らない僕
もっともっと
なすがままに
されている
いきものの僕に
逆に
歩き出す
まだ
ぎこちないけど
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