失恋/
 
を握ると、掬い取って、口に含んだ

何処かで噛んだことのある、感触
閉めた冷蔵庫に、背中から寄り掛かって


舌先で、ころころと
飴のように弄ぶ
僕の視線も、ころころと揺さぶられているんだろうか、
少し、含み笑いを零しながら、



座り込んだフローリングが、お尻から容赦なく熱を奪い去る
いつまでも噛み潰されないキウイのかけらが、じんわりと唾に包まれてゆく
昨夜を境に呼吸を止めた着信音
外からは相変わらず、空は、それを止める素振りすら見せない

音が、臭いに
静けさに、染みていて。







薄ら半開きの口元から、今にも零れ落ちそうな、緑のかけらが濡れている。







君を、想う。









涎を啜り上げると、ドロドロのかけらを噛み潰した
喉の奥へと滑り降りて行く、かけら
食べ残しのキウイをゴミ箱に落としたら
ぬけ殻の、かまくらを崩して もう一度、みの虫になる

今年の風邪も、きっと長引く。
さっき捨てたキウイの柔らかさで、泣いてみるのも一興かもしれない

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