いつの日か船越英二が 自転車三昧の日々/山田せばすちゃん
ちゃん(仮称)の
チェーンオイルで
ところどころ黒光りしているに違いなく
アーレンキーの番手を間違えてあやうく
ねじ山をなめそうになったりしながらも
シートをはずし
タイヤをはずし
ペダルをはずして
さながらそのときの俺の姿は
妻に内緒の愛人を殺害して
死体をバラして隠匿する火曜サスペンス劇場の
犯人のごとく
ごめんねごめんねとつぶやきながら
やってることは愛人にも妻にも裏切りでしかないのは
明白なのだけれど
謝りながらやろうとも
泣きながらやろうとも
罪は決して軽くなるべくもないのだけれど
それでも善良なるがゆえに
犯した罪を糊塗すべく
更なる罪を重ねるのであろうなあ、などと
そんなことふと
思ったりなんかしながら
いつの日か船越英二が
はたまた山村紅葉が
夕暮迫る俺の納屋兼作業部屋に
「犯行はここで行われたんですね」などと
今更ながらの謎解きをするエンディングなんかを
ちょっと夢見たりする
蝉の声は今日もかしましい
戻る 編 削 Point(6)